最高の霊能者2

正直あまり言われた内容を信じていなかった。大体、信じられるはずがない。所が母が軍手と長い棒を持ち探しに行くと言い出した。まさか、本当にバッグが見つかると思っているのか? おばあちゃんを信じるのか? 占いさえ信じない母が?

結局、本屋さんへ借りた車で行き、おばあさんの指示通りに、私は北、母は南、と別れて歩き始めて探したが、確かに草むらがある。道も南北にある。というか、南北にしか道はない。どうしておばあさんは来たこともないこの場所の南北の道を指定したのだろう。草むらがあるのがどうして判ったのだろう。一番の疑問は母と一緒に行け、と言ったことだった。

どれ程か進んだが見つからなかった。反対から歩いてきた母が手を振っている。よく見るとお腹に何かを抱えている。

「あったよ!!!!! これでしょ? 買ったばかりでほとんど覚えていないバッグだけど新しいから間違いない。」

と言うではないか。母は言われたと入り草むらの中でこのバッグを見つけたと言う。すぐ隣に黒いスポーツバッグのようなものがあったという。とにかく慌ててバッグの中身を確認すると、何一つなくなったものはなかった。確かおばあさんが

「じぇんぶ出てくる」

と言っていたのを思い出した。緊張なのか何なのか判らないが体が少し震えた記憶がある。

派出所へ行き、もう一つのバッグも届け帰宅した。

母がおばさんの所へお礼に行って来いという。こういう時はお供えが必要だと言われ、神様だろうと思われる方ににお供えするためお菓子を買って、おばあさんの所へ行った。見つかったことを話すとおばあさんは

「そりゃよかった。出てきたか?」

とニコニコしながら一緒に喜んでくれた。

で、当然のようにとくるっと神様の方へ向き石と会話し始めた。耳を澄ますがおばあさんに返答する声は相変わらず私には聞こえない。
「この方がお礼にきておらっしぇる。カバンが出て来たと喜んでおらっしぇるでな。まことにありがとうございます。。。。。」
としばらく話こんでいた。またくるっと私の方へ向き
「お礼に来てくれる人は少ないじゃが、わざわざ来てくれて喜んでおらっしぇる。これからもちゃ~んと見ておってくれるでな。まことよ~来てくだしゃったなぁ。そりゃそりゃ、良かったでぇ。」

と言うのだが、だから誰が?

このようなことがあれば、信じるにきまってる。問題は、話した相手がどのような存在であったのか、どのようにして会話をしたのか、である。しかし、どういうわけか追及する事をしなかった。それはおばあさんだからできる事、という考えに落ち着いたからであった。

その事件の後、何かあると私は公園のおばあさんの所へ行くようになった。特にお見合いの話が来た時には私には救いの神のような存在となった。

ある日、圧倒的なパワーで見合いをしろと迫る母が写真を手渡し「公園のおばあさんの所で聞いて来い。結婚しろと言うはずだ」と言った。

私はお見合いをしろと言われない自信があったが(理由は不明)おばあさんを頼ることにした。前回同様、くるっと後ろを向き、神様の方を向いて会話が始まった。

「この人じゃないですか。はぁ、はぁ~・・・・ そうですか。ほほ~」

会話が終了しくるっと私の方を向き

「あと2週間したら違う人が出てくると言っておらっしぇる」

とのことだ。だから誰が?
この時ばかりは勇気を出して具体的なことを聞いてみた。
「私はその人と結婚するのでしょうか」

「それは今は判らんじょ。2週間後にその人の写真をもって又来なしゃい。聞いてあげるでなぁ」

と言われた。

母がこれであきらめたと思いきや、また見合いの話を持ってきた。まさかと思うが・・・・・

そう。その日がきっちり2週間後だったのだ。

もちろん、おばあさんの指示通り写真をもってこの人と結婚する運命にあるのかを聞いた。答えは「結婚する気があるのか? 言われて見合いをしているだけでねぇのか? それでは(神様は)答えてはくれねぇじょ」だった。おっしゃる通りです。。。。。

それにしても一体このおばあさんは何者だろう。他にも母から聞いたのは、家出した息子さんの居場所を言い当てた、とか、高校を中退すると言い出した息子の中退を阻止したいという問題には「無理です。中退します」と言い、その通りになったとか。。。ことごとく言い当てていく事ばかりだった。

とにかくすごい力を持った人らしく多くの人が助けを求めにやってくるらしい。実際に、2時間ほど待つこともあった。

その後、足が遠のくが、ある時どうしてもおばあさんの所へ行きたくなった。所が、あるはずの家が道路になっていた。たまたまたいた近所の方に伺うと、道路1本挟んだ向こう側に建つモダン建築の家がそうだと教えてくれた。
お孫さんのお嫁んさんに当たる方が突然の訪問に快く対応してくれた。
この時おばあさんが亡くなられていたと知る。今も祭壇に神様は祀ってあるが後継者がいないそうだ。誰もおばあさんと同じ能力を持った人がいない、というのがその理由らしい。

今は、おばあさんにお世話になった方たちが自主的に神様のお世話をしに来てくれるという。このお嫁さんも、うわさに聞いていたけれどこんなすごい人だとは知らなかったと話されていた。

今も、霊能者と言われるとこのおばあさんの事を思い出す。私にとって最強であり最初に出会った霊能者だった。

fin

最高の霊能者1